自殺、2年連続3万人下回る 13年、70代以上は増加

 2013年に自殺した人は2万7195人で、前年より663人(2・4%)減ったことが16日、警察庁のまとめでわかった。4年連続の減少で、2年続けて3万人を下回ったが、減少幅は前年(9・1%)より縮まった。
 統計を分析している内閣府によると、13年1〜11月に自殺した人の動機では、事業不振や失業、生活苦などの「経済・生活問題」が前年同期より12・2%少ない4263人。12年はすべての年代で減少したが、13年は70代以上が増加に転じた。
 全体の自殺者のうち68・9%が男性。都道府県別では28道府県で減り、17都府県で増えた。12年は都市部での減少が目立ったが、13年は神奈川や大阪、福岡で減る一方、東京や愛知では増え、傾向が分かれた。
(2014年1月16日 朝日新聞

認知症・うつ、画像で診断…技術開発支援へ

 政府は、認知症うつ病などの早期診断などにつなげる新しい画像診断技術の実用化に向け、資金支援に乗り出す方針を決めた。
 診断や治療が難しい認知症などの適切な治療に結びつける狙いだ。最先端を走る日本の研究は世界的に注目されており、政府は2015年に発足する日本版NIHの目玉事業に位置付ける考えだ。
 画像診断技術は、日本医科大学の大久保善朗教授(精神医学)のチームが15年度をめどに実用化を目指している。政府は日本版NIHの発足を待たず、厚生労働、文部科学、経済産業の3省が14年度当初予算案に計12億7000万円の研究支援費を計上した。
 同様の研究は世界数か国で競い合っているが、日本の研究が最も進んでおり、米国など約20か国から早くも開発後の技術供与の要請がきているという。
(2014年1月15日 読売新聞)

<地方公務員>精神疾患急増 10年で長期病休者2.4倍

 2012年度に精神疾患で長期の病休を取った地方公務員が、10年前の2.4倍に増えていることが、総務省の外郭団体「地方公務員安全衛生推進協会」(東京)の調査で分かった。同会が調査を始めた1992年度以降過去最多。長期病休者のうち精神疾患が占める割合が初めて5割を超えたことも分かった。専門家は、カウンセリング態勢の構築などが必要と指摘している。
 調査対象は、都道府県▽政令指定都市▽都内23区▽県庁所在市▽人口30万人以上の市▽人口5万〜10万人の市から抽出した94団体▽人口1万〜2万の町村から抽出した94団体−−の計342団体の地方公務員約78万人。それぞれの人事部局に一括回答してもらう形をとり、すべての団体から回答を得た。
 集計した数字は職員10万人当たりの数に換算。その結果、休暇・休職が連続30日以上、または通算1カ月以上だった「長期病休者」の数は、08年度の2465.7人をピークに減少し、12年度は2394.9人だった。
 一方、精神疾患による長期病休者は増加傾向で、12年度は1215.6人で過去最多。10年前(02年度510.3人)の2.4倍、15年前(97年度246.9人)の約5倍に達した。逆に、消化器系や循環器系の疾患、がんなどの長期病休者は微減傾向だった。結果、12年度で長期病休者のうち精神疾患が占める割合は50.8%となり、初めて過半数を占めた。
 人事院によると、国家公務員でも精神疾患による長期病休者は増加傾向にある。しかし、増え方は地方公務員の方が大きく、11年度に国家公務員(一般職)約27万人を対象に調べたところ3468人で、01年度の2218人と比べ10年間で1.56倍だった。
 有馬晋作・宮崎公立大教授(行政学)は「職場環境だけが原因だと判断するのは難しいが、平成の大合併などで人員削減が進み、地方行政の現場は人手不足に陥っている。併せて、住民の行政に対する目は次第に厳しくなっており、職員の肉体的、精神的負担は高まっている感がある。職員が助け合える職場環境づくりや専門家を配置したカウンセリング態勢の構築などが必要だろう」と話した。
(2014年1月6日 毎日新聞

<過労自殺>飲料水配送会社が因果関係認め和解 再発防止も

 過労のため自殺したとして、飲料水配送会社に勤めていた男性(当時27歳)の両親が会社に約8300万円の賠償を求めた訴訟が25日、解決金6000万円を支払うなどの内容で、大阪地裁(相沢真木裁判長)で和解した。会社が過労と自殺の因果関係を認めて謝罪し、再発防止策などを記した書面を全従業員に配ることも盛り込まれた。
 訴状などによると、男性は2008年4月、飲料メーカーの配送業務を担う「日東フルライン」(大阪市住之江区)に就職、清涼飲料の配送と自動販売機の補充を担当した。7月に入り、1カ月間の時間外労働が104時間に達したことから、男性はうつ病を発症、8月2日に自殺した。
 両親の代理人弁護士によると、過労自殺を巡る和解で、会社側が謝罪内容を含んだ文書を全従業員に配るのは異例という。
 この日、大阪市内で記者会見した男性の父親(67)は「長時間労働で死ぬ若者が二度と出ないための一石になれば」と語った。日東フルラインは、「今後とも再発防止に努めたい」としている。
(2013年12月25日 毎日新聞

糖尿病、予備軍含め初の減少 12年推計2050万人に

 生活習慣病の一つ、糖尿病が強く疑われる人と、可能性を否定できない「予備軍」の人の合計が2012年時点で約2050万人と推計されることが、厚生労働省が19日に公表した国民健康・栄養調査で分かった。調査を始めた1997年以来初めて減少に転じ、前回07年調査から約160万人減った。
 糖尿病の調査は5年ごとに実施。血液検査した成人男女約1万4千人の数値を解析して推計した。減少は、予備軍が減ったことが理由で、厚労省は「生活習慣病対策として08年度から始めた特定健診・特定保健指導の効果が出ているのではないか」とみている。
 糖尿病が強く疑われる人は約950万人、予備軍は約1100万人だった。いずれも調査開始以来、増え続けていたが、予備軍は5年前から約220万人減少。高齢化の進展などで、強く疑われる人は60万人増えた。
 強く疑われる人のうち、治療を受けている人の割合は65.2%と5年前に比べ9.5ポイント上昇した。ほとんど治療を受けていない人は同10.2ポイント減の29.0%だった。
 調査では、糖尿病の予防に関わる運動習慣もアンケート。「30分以上の運動を週2回以上、1年以上継続している人」の割合は、男性36.1%、女性28.2%。年代別で運動不足が目立ったのは男性が30〜40代、女性が20〜40代だった。
(2013年12月20日 日本経済新聞

心の病で休職 3年連続減少

 文部科学省の調査では、鬱病などの精神疾患で24年度に休職した公立小・中・高校などの教員が4960人で、19年度以来5年ぶりに5千人を下回った。ただし文科省では「依然として高水準であり、復職後のフォローアップなどに努めたい」としている。
 調査によると、24年度の精神疾患の休職者は50代以上1940人、40代1531人、30代1038人、20代451人で、年齢が高くなるほど学校現場での責任や負担も増し、鬱病などになりやすい傾向がみられた。うち復職したのは1902人、退職したのは1009人、引き続き休職中なのが2049人だった。
 精神疾患の休職者は平成4年度の1111人から増加し続け、ピークの21年度には5倍の5458人に達したが、その後3年連続で減少した。ここ数年、学校現場に相談しやすい雰囲気をつくり、試し出勤など復職支援にも取り組んでいる効果が、徐々に表れているといえそうだ。
(2013年12月18日 産経新聞) 

野菜などの健康的食生活、自殺防ぐ 国際医療センターなど調査

 国立国際医療研究センター国立がん研究センターなどは9日、野菜や大豆、海草、キノコなどを中心にした健康的な食生活をする人は、そうでない人に比べて自殺のリスクが半減するとの調査結果を発表した。
 40〜69歳の男女9万人を対象に約8年半かけて追跡した。
 対象者に普段の食事をアンケートし、野菜や大豆などの「健康型」、肉やパンを中心とする「欧米型」、ご飯やみそ汁といった「日本食(伝統型)」3つのパターンに分類。病歴など食事以外の影響も考慮しながら、自殺との関連を調べた。
 野菜や果物、イモ、キノコ、大豆、海草、魚などを多く食べて緑茶をよく飲むグループは少ない人たちに比べて、自殺するリスクが男性で47%、女性で46%に下がった。欧米型や日本食でも同様の分析をしたが、こうした差はなかった。
 健康型の食事には、葉酸やビタミンCなどが多く含まれる。こうした栄養素は鬱病を予防する効果があるとされ、自殺を減らした可能性があるとみている。
(2013年12月9日 日本経済新聞