メンタル休職、42%退職 期間短く完治せぬまま

 うつ病などメンタルヘルスの不調で会社を休職した社員の42.3%が、休職制度の利用中や職場復帰後に退職しているとの調査結果を、独立行政法人労働政策研究・研修機構」(東京・練馬)が18日までにまとめた。休職できる期間が短く治療が十分でないことや、復職後の支援体制が不十分なことが退職の背景にあるとみられる。
 退職者の多さは企業経営にとっても大きな損失で、就業継続への取り組みが不可欠だ。
 調査は2012年11月に実施。メンタルヘルスやがん、脳疾患、糖尿病などによる病気について、休職制度の有無や期間、退職・復職の状況などを尋ねた。5904社が回答した。
 調査結果によると、過去3年間にメンタル不調を理由に休職制度を利用した社員の退職率は、全疾病平均の37.8%を4.5ポイント上回った。
 最も高いのはがんの42.7%だが、がんによる休職は50代以上の割合が高く、定年など病気以外の理由による退職も多数含まれているとみられる。同機構の奥田栄二主任調査員補佐は「メンタル不調は30代以下の割合が高いため、病気を直接の原因とする退職率はメンタル不調が最も高いと考えられる」としている。
 また、メンタル不調者の退職率は休職制度の上限期間が短い企業ほど高い傾向があり、上限が3カ月までの場合は、59.3%が離職。2年6カ月超3年までの企業では29.8%で、2倍の差が出た。企業の規模別でみると、上限期間の短い企業が多い中小(50人以上100人未満)は退職率も48.0%と、千人以上の企業より15ポイント高かった。
 復職後に短時間勤務などの「試し出勤」や、産業医面談などのフォローアップを実施していない企業の退職率も実施企業より高かった。
 企業が最も対策を重視している疾病として挙げた割合が高いのは、メンタルヘルスが21.9%で、生活習慣病(8.9%)やがん(5.4%)を大きく上回った。
(2014年3月18日 日本経済新聞