<精神疾患>病名に新指針 パニック障害は「パニック症」

 性同一性障害は「性別違和」に、パニック障害は「パニック症」に言い換えを−−。日本精神神経学会は28日、精神疾患の病名に関する新しい指針を発表した。本人や家族の差別感や不快感を減らすとともに、分かりやすい表現を用いて認知度を高めるのが目的だ。学会は今後、医療現場などに新指針による病名を用いるよう呼び掛けていく。
 米国の新診断基準「DSM−5」が昨年策定されたのを契機に、関連学会が表現を検討してきた。主な変更点として、患者や家族に配慮して「障害」を「症」に言い換えた。「障害」の表現が、症状が回復しないとの誤解を与えるためだ。
 例えば、物事に集中できないなどの症状がある注意欠陥多動性障害ADHD)は「注意欠陥・多動症」に、急に動悸(どうき)や息苦しさなどに襲われる「パニック障害」はパニック症、拒食症も「神経性やせ症」に変更した。
 身体的な性別と、心理的な性別が一致せず、強い違和感に苦しむ性同一性障害では、「障害」との表現に、患者の間で異論が多いことに配慮した。
 一方、新指針では比較的新しい疾患とされる「カフェイン使用障害」と「インターネットゲーム障害」などについて、「今後研究するための病態」として病名を盛り込んだ。

 ◇変更された主な精神疾患
 アルコール依存症→アルコール使用障害
 パニック障害→パニック症
 神経性無食欲症(拒食症)→神経性やせ症
 性同一性障害→性別違和
 言語障害→言語症
 注意欠陥・多動性障害(ADHD)→注意欠如・多動症
 アスペルガー症候群自閉症自閉スペクトラム症

(2014年5月29日 毎日新聞