上海印象−1

 この年末年始を上海で過ごした。上海には7、8年前に行って以来である。
 初めて上海に行ったのは、さらにその15、6年前のことで、私が33歳の時だった。中国には都合15回くらい行っているが、大半は遊び、物見遊山で、毎回面白い経験をしたがそれは措く。
 この度の上海へは、日本航空で行った。わざわざ日本航空に乗ったのだ。ご承知のように、JALは今まさに苦境に立っている。中には「こんな会社、潰れればいいんだ」などと言う者までいて驚く。この人は何かJALから被害を受けることがあったのかと、まじまじと顔を見つめてしまう。JALに冷たいマスコミの影響なのだろうか。どうしてこんな言い方をするのだろう?
 私はJALを応援している。むろん、御巣鷹山の事故は許されない。しかし、それはそれ、いやしくも日本のナショナル・フラッグである。かつてフランスに長期滞在して帰国する際に、シャルル・ド・ゴール空港に鶴のマーク(だったのですよ、今と違って)を認めた時の、日の丸を見た時のようなあの安心感。そして機内に乗り込んだ時の、もう日本に帰ったも同然という何とも言えぬホッとした感じ。今でも感謝している。私は誰が何と言おうと、JALの再起を願っている。年金問題もOBの方々が納得されたようで、少しほっとした。大変だろうが、とにかく頑張っていただきたい。私も必ずJALに乗りますよ。世界に冠たる日本の翼の矜持を捨てないでください。頑張れ、日本航空
 というわけで、日本航空に乗って上海へ行った。
 久方ぶりの上海の印象で、何より降り立った空港で気付いたのが「異臭」だった。昔から、中国には中国独得の匂いがある。これを言い表すのは難しいが、つまりは古い中華の匂いである。しかし、今回の匂いは「匂い」でなく「臭い」。自然でないケミカルな臭い、化学工場の臭いである。だから異臭としか言いようがないもので、これはホテルで水を口に含んだ時にも感じた。水は飲まないが、口中でとにかく「臭い」のである。
 ホテルはリッツカールトン。決して悪いホテルではない。いや、いいホテルですよ。つまりはホテルのせいでなく、もともとの水が悪いのです。分かっているだけでも、上海には3000万人近い人間が住んでいる。東京の2.5倍もの人口であるが、これだけの人間が飲む水は上海の工場地帯を網の目のように流れるクリークからの水だという。いくら浄水したって、これは汚れる。いかんでしょ。
 いきなり、水の話から始めてしまい、上海の今日の発展を述べなかったが、生活の基本である水がこれだけ汚れていて、発展も無いだろうと思う。確かに上海は見違えるように近代的なビルが林立している。今も建設中の高層ビルは多い。森ビルが建てた上海ヒルズは101階建てで492メートルだ。このビルに上ってみた。(続く)