中高年男性の自殺、飲酒も関係 衝動性高める危険指摘

 中高年男性の自殺に飲酒が関係――。国立精神・神経センター自殺予防総合対策センター(東京)が遺族から聞き取り調査した結果、こんな傾向が浮かび上がってきた。自殺する1年以内に、アルコールで仕事に支障をきたすなどの問題を抱えていた事例が目立ったという。

 主に06年以降の自殺者について、精神科医らが遺族から自殺に至った経緯などを聴き、自殺の背景を分析。結果がまとまった男女43事例をみると、中高年(30〜64歳)の男性26人のうち、9人がアルコール問題を抱えていた。平均飲酒量は1日あたり日本酒換算で3.5合。大半は依存症にあたる状態で、うつ病にもかかっていた。

 同センターは、「アルコールが衝動性を高め、行動に移す危険を高めている。今まで焦点が当てられてこなかったアルコール問題への対策が必要だ」と指摘。職場の健康対策でも、うつ病だけでなくアルコール問題も含めたメンタルヘルス対策が必要だとしている。

 最終的には計約100事例の分析結果を、年度内にまとめる予定だ。

 警察庁によると、08年に自殺した人は全国で3万2249人。11年連続で3万人を超えている。

 10日の世界自殺予防デーから16日までは自殺予防週間。全国各地でシンポジウムなど啓発事業が催される。
(2009年9月10日 朝日新聞