ちょっといい話—2カ月分のお早う

 仲良しの二人の女子生徒がいた。どこへ行くにも一緒の関係だったが、どうしたわけか、一人の子が自分だけで遊びに行くと言っていた場所で、もう一方の子とばったり出会った。一人で行くと言っていたのに、全く違う女の子と一緒だったから、もう一方の子は裏切られたような気持ちになった。
 一人で行くと言っていた女の子も、気まずい気持ちになり、二人の関係は冷めた。朝会ってもお早うも言わなくなってしまった。互いに他の女子と遊ぶようになり、目も合わせなくなってしまった。
 2カ月ぐらい絶った頃、裏切られたと思った子に、ある招待券が来た。5人分の切符があったが、1人分が余ってしまった。不思議なことに、その子は母親に「○○ちゃんも誘ってあげようかな」と言った。裏切られたと思った相手の子である。母親は「それはいい。電話してあげたら?」と答えた。
 その子に電話すると、大喜びで「ありがとう」と言った。
 翌朝、電話してもらった子が玄関を出る時に、母親に笑顔で言った。
 「2カ月分のお早うを言うよ」
 実話です。