大阪市民、著しく高いうつ的傾向 不況の影響受けやすく?――市調査で

 大阪市民がうつ症状の程度を示す「うつ的傾向」が全国平均と比べ、著しく高いことが市の調査で分かった。大阪市は市内在住者10万人当たりの自殺者数が統計を取り始めた97年以降、04年を除いて07年まで政令市でワースト1を記録。専門家は「大阪市中小零細企業が多く、金融危機や不況の影響を顕著に受けているのではないか」と分析している。
 市は自殺の実態を把握しようと08年9月、委嘱する20歳以上の市政モニター600人に調査票を送付し、同月末までに558人(回答率93%)から回答を得た。調査では心身に関する11項目について点数を付けた。合計点が高いほどストレスが強い。その結果、大阪市の点数は、日本家族社会学会が全国約7000人を対象にした99年の全国調査の平均4.54を1.61ポイント上回る6.15だった。うつ的傾向が非常に高く、全11項目で全国平均値を上回った。男性より女性、高年齢層より低年齢層で高い傾向が出た。
 大阪市は今回の調査などを踏まえ、今年4月、相談体制の充実や地域・企業への啓発などを軸とする自殺対策基本指針を策定した。調査を担当した清水新二・奈良女子大教授(社会病理学)は「相談窓口を設けるだけでなく、市民への周知や相談しやすい対応などを追求することが大切だ」と話している。
(2009年7月27日 毎日新聞