自殺、768人増の1万7076人…上半期

過去最悪迫るペース
 警察庁は27日、今年1〜6月に全国で自殺した人は1万7076人(暫定値)に上り、昨年同期より768人増えたと発表した。
 今年に入って6か月連続で昨年同期を上回っており、年間の自殺者が過去最悪だった2003年(3万4427人)に迫るペースとなっている。景気の落ち込みが影響しているとみられ、対策が急務となっている。


景気の落ち込み影響か
 今年半年間の自殺者のうち、71%にあたる1万2222人が男性。月別では、1月が2660人(昨年比118人増)、2月2482人(74人増)、3月3084人(145人増)、4月3048人(194人増)、5月2980人(184人増)、6月2822人(53人増)。企業の決算期や派遣労働者の契約が切れる年度末に増加する傾向も見受けられる。
 都道府県別で多いのは、東京都1569人、大阪府1057人、埼玉県971人、神奈川県938人、愛知県844人など。29都府県で昨年同期を上回った。増加率が高いのは沖縄県の51・3%のほか、山口県30・2%、高知県21・6%、岡山県17・5%、埼玉県16・7%など。鳥取県は19・8%減で減少率が高かった。
 全国の自殺者数は昨年まで11年連続で3万人を超えた。このままのペースだと、同庁が統計を取り始めた1978年以降で2番目に多かった07年(3万3093人)を上回り、最悪だった03年並みになることになる。
 多重債務問題に取り組む「夜明けの会」(埼玉県桶川市)の事務局次長の吉田豊樹さん(37)は「仕事を失った後に歯を食いしばって生活したものの、失業給付や貯金が切れ、結局、自殺を選んでしまうケースが少なくない。今後さらに増える恐れがある」と指摘。和歌山県白浜町NPO法人「白浜レスキューネットワーク」が2月から警察などと一緒にパトロールを始めたところ、保護した人は2月は2人だったのが、6月は16人。30〜40歳代の働き盛りで、経済問題を理由とする人が多いという。
 NPO法人ライフリンク」(東京)の清水康之代表は「政府は様々な経済・生活対策を講じているが、現場に十分届いているとは言えない。制度を知らないまま命を絶たざるを得ない人も多く、支援策を定着させることが重要」と話している。
〈自殺に関する主な相談窓口〉 
 ▽東京自殺防止センター 03・5286・9090(毎日午後8時〜翌朝6時、火曜は午後5時〜翌朝6時)
 ▽全国の「いのちの電話」の番号は日本いのちの電話連盟のホームページ(http://www.find-j.jp/)で紹介している
(2009年7月28日 読売新聞)