学校の「いじめ隠し」防止へ文科省が指針

 文部科学省は、児童・生徒の自殺に対し、学校が原因などを調べる背景調査の方法の「指針」を策定する方針を決めた。 学校側が調査を十分に行わない事例や、いじめが原因であることを把握していたにもかかわらず「原因不明」と報告する「いじめ隠し」が発覚するなど、学校や教育委員会任せの調査には限界があると判断した。学校に詳細な原因調査を実施させることで再発防止につなげる狙いがある。
 文科省は30日に精神科医臨床心理士、大学教授、現役教員などをメンバーとする「児童生徒の自殺予防に向けた取組に関する検討会」(仮称)を同省内に設置。指針策定に向けた検討を開始し、来年度中に全国の小中高校に指針を示す予定だ。

弁護士や医師など第三者が調査
 指針は「調査の意義」と「具体的な方法論」の2本立てとする。「調査の意義」には、若者の自殺の実態を正確に把握することが、自殺の予防につながることを明記する。方法論は、学校による調査だけでなく弁護士や医師など第三者による調査の有効性を指摘し、人選の方法も盛り込む方向だ。
 北海道滝川市で2005年9月に小学6年女児が自殺し、市教委はいじめを訴える遺書を隠したまま、原因不明の場合などに相当する「その他」と報告。文科省の指示を受けた再調査でいじめが原因と認めた。また、文科省の07年度の「問題行動調査」によると、同省が把握した同年度の自殺者数は158人で、55.7%にあたる88人が「原因不明」と報告された。
(2009年7月27日 読売新聞)