精神疾患の労災申請、2年連続で過去最高 対人トラブル増加

 仕事のストレスでうつ病など精神疾患を発症したとして2010年度に労災申請した人は前年度より45人増えて1181人となり、過去最多を更新したことが14日、厚生労働省のまとめで分かった。労災認定も74人増の308人で過去最多。原因として対人関係のトラブルが増加しており、同省は「認定基準を広げた影響もある」とみている。
 精神疾患などを原因とする労災申請は06年度は819人、07年度は952人で08年度は927人と微減したが、09年度に初めて1千人を突破し2年連続で増加した。
 業種別では製造業が207人で最も多く、次いで卸売・小売業の198人、「医療・福祉」の170人の順。労災認定も同じ順位でそれぞれ50人、46人、41人だった。労災認定された自殺・自殺未遂は65人だった。
 認定された308人のうち、発症の原因では「仕事内容・仕事量の大きな変化を生じさせる出来事があった」が41人で最も多かった。次いで09年度から認定基準に盛り込まれた「ひどい嫌がらせ、いじめ、または暴行を受けた」が39人。「上司とのトラブル」(17人)、「セクハラを受けた」(8人)なども含め、対人関係のトラブルが増加していた。
 同省は「ひどい嫌がらせやいじめなどが労災対象になる認識が広まってきたのではないか」とみている。
 脳梗塞心筋梗塞などで労災申請した人は35人増えて802人となり、4年ぶりに増えた。認定は8人減って285人。このうち死亡で認定された人は113人で、7人増えた。
 認定された人の1カ月の平均残業時間は「80〜100時間未満」が92人で最も多く、次いで「100〜120時間未満」の84人。「120時間以上」も64人に上った。
(2011年6月14日 日経新聞