新人教員の病気退職増 10年前の20倍…精神疾患9割

 全国の公立学校に勤務する1年目の新人教員のうち、病気を理由に依願退職した人数が平成22年度は101人にのぼり、10年前の20倍に増加したことが8日、文部科学省が公表した調査結果で分かった。このうち9割は精神疾患を理由としていた。夢をかなえて希望の職に就いても上司や保護者との関係、子供の指導に悩んで心を痛めて教壇を去っていく教員の姿が浮き彫りとなった。
 地方公務員は民間企業の試用期間にあたる条件付き採用期間を6カ月間設けているが、教員の場合は1年間と長く、文科省はこの間の教員を対象に調査した。調査結果によると、22年度に全国の公立学校に採用された教員は2万5743人。全採用数の1・1%に当たる288人が、1年以内に依願退職していた。12年度の依願退職者数は33人で、10年で8・7倍に増加したことになる。
 このうち病気を理由に退職した人数は12年度の5人から年々増加し、19年度の103人をピークに高止まりしている状態。病気のうち精神疾患については21年度から調査を開始。21年度は86人中83人、22年度は101人中91人で、病気退職者の大半は精神を患ったものだった。
 団塊世代の大量退職に伴う採用増で10年前に比べ、全採用数が2倍以上となっていることを考慮しても多く、文科省の担当者は「仕事の量や保護者対応などイメージとのギャップがあるのだろう。職場での人間関係の希薄さも背景にある」と分析している。
(2011年11月9日 産経新聞