格差社会高まるストレス、高所得層も死亡率増

 社会の所得格差が大きくなると、貧困層だけでなく中間層や高所得層でも死亡する危険性が高まることが、山梨大の近藤尚己助教らの大規模なデータ分析で分かった。
 社会のきずなが薄れ、ストレスが高まるのが原因らしい。英医師会誌に発表した。
 社会の格差が寿命などに悪影響を与える「健康格差」の報告が最近相次いでいる。慢性的なストレスが自律神経やホルモンの働きを乱して、免疫機能を下げたり、血圧や血糖値を上げたりするのが原因と考えられている。
 近藤助教らは、日米欧などで研究された論文約2800本を調査。その中で信頼性が高いと判断した28本の計約6000万人のデータを解析し、格差が健康に与える影響を検証した。
 その結果、格差の指標となるジニ係数が「格差が広く意識され始める」目安とされる0・3を超えると、0・05上がるごとに、一人一人が死亡する危険性が9%ずつ増えていた。影響はどの所得層や年齢層でも、男女ともに表れた。
 こうした傾向は長期間調査するほど顕著で、1990年以降に格差の影響が目立ち始めたことも分かった。経済協力開発機構OECD)加盟の先進30か国で、2000年のジニ係数が0・3以上なのは、日本や米国など15か国。貧困の影響ではなく、格差の大きさ自体の影響で死亡する人は、日本(ジニ係数0・314)が年間2万3000人、米国(同0・357)が同88万人で、15か国では同150万人になると、近藤助教らは推計した。
 日本福祉大の近藤克則教授(社会福祉学)は「格差が健康に与える影響については議論もあったが、包括的に検証している。健康を個人レベルだけでなく、社会全体で考える必要性を実証した」と話している。
(2009年11月21日 読売新聞)