提訴:「自殺原因はパワハラ」 妻らが大東建託を−−地裁 /静岡

 夫が自殺したのは、工事代金の超過分の負担を勤務先の会社から強要されて追いつめられたためだとして、妻ら遺族が24日、大東建託(東京都港区)を相手取り、慰謝料4000万円を求める損害賠償訴訟を静岡地裁に起こした。
 訴状によると、焼津市在住で大東建託藤枝支店に勤めていた谷坂聡太郎さん(当時42歳)は05年3月、焼津市内のマンション建設の請負契約を締結したが、工事代金が当初予定を約3000万円超過。谷坂さんが約360万円、支店長と営業課長が200万円ずつ払うことが決められ、谷坂さんは上司2人に覚書にサインさせられ、うつ病を発症し07年10月、遺書を残して自殺したと指摘。同社は谷坂さんに金銭的負担を強いて、精神的に追いつめることは予見できたのに、安全配慮義務を怠ったとしている。
 遺族は今年4月、島田労働基準監督署に労災認定を申請。同署が事実関係を調査中だ。
 提訴した妻のちえさん(30)は24日、記者会見し「一社員に現金を負担させるなんて考えられない。会社側からは何の説明も謝罪もない。主人を追い詰めたことを認めてほしいし、二度とこんな事件を起こしてほしくない」と訴えた。
 大東建託は「覚書の存在も含めて、訴状の内容を確認しないとコメントしようがない」と話している。
(2009年11月25日 毎日新聞