秋田の自殺者、13年ぶり400人下回る 予防策実る?

 厚生労働省の統計で15年連続で自殺率が最も高い秋田県の2010年の自殺者数が、前年より70人減って368人になったことが6日、県警の速報値でわかった。秋田県の自殺者数が400人以下になるのは97年以来13年ぶり。民間、行政、大学が連携した「秋田モデル」と呼ばれる予防対策が効果を上げたとみられる。
 全国の自殺者は12年連続で3万人を超え、月内に発表される10年の自殺者数も3万人を上回る見通しだ。その中で秋田県はほとんどの世代で減少、特に30〜59歳の働き盛り世代の自殺者は153人と前年から52人も減った。
 秋田県では、自殺率が高いことへの危機感から、行政だけでなく、民間団体、大学が協力して対策に乗り出してきた。県は00年度から自殺対策予算をつけ、これまでに3億円以上を計上した。
 民間の動きが活発なのが大きな特徴で、自殺予防に取り組む団体は全国130のうち、秋田県だけで40あり、悩みの内容ごとに細かく相談できるように対応。秋田市NPO法人「蜘蛛(くも)の糸」は、中小企業経営者や弁護士、司法書士が多重債務者を、保健師精神科医うつ病などの精神疾患患者を、それぞれ専門的な観点からケアしている。一つの団体にこだわらず、ほかの団体を紹介する仕組みもある。
 秋田大学も協力、こうした団体と定期的に勉強会を開いており、本橋豊・医学部長は民間主導の動きを「対策が、現場の動きの中から出てくる。新しい公共だ」と話す。
(2011年1月7日 朝日新聞