<公務災害>「暴言でPTSD」 市職員の訴え認定…兵庫

 市役所窓口で市民から暴言を浴びせられ心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症したと訴えていた兵庫県内の市役所職員の女性について、地方公務員災害補償基金兵庫県支部が公務上災害と認定していたことが分かった。女性を支援していた非営利組織(NPO)ひょうご労働安全衛生センター(神戸市)によると、窓口業務のトラブルが精神疾患の原因と認定されるのは異例。
 センターによると、08年8月、生活保護の相談で阪神間の市役所を訪れた男性が女性の対応に腹を立て、「インターネットに名前を載せる」「死ね」と暴言を吐くなどした。女性はこれらのやりとりを思い出す「フラッシュバック」に悩み、市役所に近付くと鼓動が速くなるなどの状態になり、休職。うつ病やPTSDと診断され、同年9月、民間の労災に当たる公務上災害の認定を申請した。
 同基金は公務上災害と認められる精神疾患の原因として、▽自然災害や犯罪への対応▽突発的事態に対する職務−−などを挙げており、同支部は今回のケースを「これらに類する異常な状態」と判断した。女性は復職したが、現在も通院中という。
 センターの西山和宏事務局長は「窓口職員と市民とのトラブルは多く、今後の認定にも影響する画期的な判断だ」と話している。
(2011年5月6日 毎日新聞