教職員休職 心の病8割

 県内の教職員にうつ病などの精神疾患で休職する人が増えている。08年度の休職者のうち精神疾患を理由とした人は88人で全体の79%を占めた。県教委は医師やカウンセラーによるメンタルヘルス相談に取り組むが、利用率は上がらないのが現状だ。悩みを一人で抱え込み休職に追い込まれるのを食い止めようと相談態勢を整えている。
 県教委福利課によると、精神疾患を理由に休職した小中学校や高校などの教職員数は03年度、全休職者の63%にあたる50人だった。04年度56人(68%)、05年度56人(66%)、06年度76人(68%)、07年度88人(70%)と5年間で1.76倍に増加した。
 県教委は06年度、県教育センター内に教職員健康支援センターを開設。精神科医による「こころの健康相談」と、臨床心理士による「カウンセリング相談」を受け付けてきた。
 しかし精神疾患による休職者が80人を超えた07、08の両年度とも、それぞれの相談件数は20件前後にとどまっていた。県教委は、09年度から同支援センターを福利課内に全面的に移転。これまで会議室などで相談を受けていたが、防音に配慮した専用の個室を整備した。
 精神科医臨床心理士による相談日はそれぞれ月2回だが、同支援センターには保健師や教職員OBが常駐しており、いつでも相談を受けられる態勢だ。同課は「もともと相談内容などは守秘されているが、相談者の『聞かれたくない』という心情に配慮した。とにかくもっと利用してほしい」と話している。
 精神疾患の要因は、一概には言えない。児童生徒や保護者への対応、事務作業の増加、同僚や上司との人間関係など職場での悩みから、更年期障害や家庭の問題など様々なストレスが複合していることが多いという。
 こころの健康相談も担当する大分大保健管理センターの精神科医、藤田長太郎教授は「教職員はまじめな性格の方が多く、一人で考えすぎてまいってしまうケースが多い。早い段階で相談することは、有効な手だてになる」とみている。(黒川真里会)
2009年8月5日朝日新聞asahi.comマイタウン大分)